
訪問看護ステーションの開業や運営において、地域にその存在を知ってもらい、利用者の紹介を獲得するためには、チラシを活用した営業活動や広報活動が不可欠です。特に、多くの情報が飛び交う中で、多忙なケアマネジャーや医療機関の職員の関心を引き、利用につなげるためには、戦略的にチラシを作成・活用する必要があります。
本記事では、効果的なチラシを作成するための具体的なポイントと、営業活動における活用方法、そして効率的な作成手順について解説します。

訪問看護ステーションが居宅介護支援事業所や医療機関、地域住民に対して情報発信を行う際、チラシは重要な役割を果たします。

パンフレットとチラシはどちらも広報ツールですが、記載内容には違いがあります。
• パンフレット:ステーションの理念やサービスの具体例など、時間の経過で変化しない情報を主に記載します。
• チラシ:開業、空き状況、研修、相談会の実施など、時間の経過で変化する情報を記載し、最新の情報を伝えるために活用されます。
どちらのツールも、住所や電話番号といった問い合わせ先に関する情報は共通して記載する必要があります。
訪問看護ステーションがチラシを活用する主な場面は二つあります。
1. 開業の案内:ステーションが開業したことを知らせるために活用します。医療機関や居宅介護支援事業所への挨拶時に配布することで、利用者紹介のきっかけにつながるでしょう。また、新聞折込やポスティング、地域の掲示板への掲載を通じて、潜在的な利用者やその家族へ周知することも可能です。
2. 空き状況の案内:開業後も継続的な営業活動として、医療機関や居宅介護支援事業所へ、最新の空き状況を定期的に伝えるために利用されます。これにより、訪問看護が必要な方が出てきた際に、紹介候補の一つとしてステーションを思い出してもらいやすくなります。
効果的なチラシを作成するためには、受け取る側のニーズに合わせた内容を工夫することが重要です。

チラシを作成する際は、訴求したい点を明確にするために、「誰に(ターゲット)」対して「何を(目的)」伝えたいのかを決めましょう。
チラシのターゲットの例 | チラシの目的の例 |
居宅介護支援事業所のケアマネジャー (CM) | 新しいステーションが開設したこと |
地域の高齢者、その家族 | 訪問看護の利用について相談できること |
医療機関の医師、MSW | 利用者を受け入れ可能な空き状況があること |
チラシが地域住民向けであれば専門用語を避け、誰でも理解できるように言葉を選ぶ必要があります。一方、CMや医療機関向けであれば専門用語を用いた表現でも問題ないとされています。
ケアマネジャーは、ステーションの理念や方針よりも、そのステーションを利用することで得られる具体的なメリットに関心があるかもしれません。
例えば、「皮膚・排泄ケア認定看護師が在籍しています」と事実だけを記載するのではなく、「皮膚・排泄ケア認定看護師が在籍しているため、利用者の褥瘡予防に力を入れてケアにあたります」といったように、利用者目線での利益まで踏み込んで記載することで、チラシはより注目されやすくなります。
ケアマネジャーは多くのステーションから営業を受けているため、ありきたりな内容のチラシでは目に留まりにくい可能性があります。競合との差別化を図り、利用しやすさをアピールすることが肝心です。
ステーションの強みとしてアピールすべき具体例:
• 専門的な対応力:精神科訪問看護や小児訪問看護への対応
• 専門職の在籍:言語聴覚士、認定看護師、認知症ケア専門士、終末期ケア専門士などの在籍
• 緊急時の対応:緊急時訪問看護加算を算定していること、土日祝日でも対応していること。
• 明確なコンセプト:抽象的な理念ではなく、「自分でできることを増やしながら家での療養をお手伝いします」といった、具体的なコンセプトを打ち出すことが重要です。
さらに、単に文章で強みを記載するだけでなく、オリジナルのキャッチコピーを作ったり、大きな文字で強調したりといった工夫も効果的です。
チラシを受け取った人が直感的に興味を引くデザインと、読みやすい文字を意識しましょう。
• キャッチフレーズ:「重要!」など目に留まるキャッチフレーズやデザインを取り入れる。
• 色彩:彩度が高い色味を使って目立たせる。
• サイズ:珍しいサイズや形の用紙を意識する。
• 強調:最も伝えたい箇所の文字を大きくする。
チラシの効果は、配布するタイミングや方法、そしてその後のフォローアップによって大きく左右されます。
チラシを配布する際は、相手の状況に配慮することが大切です。
• 開業案内チラシ:医療機関やケアマネジャーへの開業挨拶時に手渡すのが良いでしょう。
• 空き状況チラシ:訪問看護計画書や報告書といった必要書類を提出する際に一緒に渡すことを心がけます。多忙なケアマネジャーに時間を取らせて手渡しすることは、迷惑になる可能性もあるためです。
特に、居宅介護支援事業所のケアマネジャーは月末から月初にかけて、請求業務やケアプラン作成で多忙を極める傾向があります。そのため、この時期の訪問は避け、10日から25日くらいの間に訪問することが望ましいとされています。
営業頻度については、ケアマネジャーに対しては月1回程度が推奨されますが、医師の中には頻繁な訪問を好まない方もいるため、、開業当初の数回にとどめ、ステーションの認知を広げることに重点を置くと良いでしょう。
新規ステーションが増え続ける中で、単にステーションの存在を広めるための「ごあいさつ営業」から、実際に利用者獲得を目指す「利用者獲得型営業」へと営業活動の在り方を進化させる必要があります。
チラシは、ステーションの認知を広げる初期段階だけでなく、特定のテーマ(例:「年末年始も休まず訪問します」「訪問看護の食事・栄養ケア」など)に特化した内容のものを活用することで、利用者獲得型の営業を強化するツールとなります。
チラシの内容や配布方法を改善するためには、必ず効果測定を行いましょう。大量にチラシを配布した場合、配布日時、エリア、部数、方法を記録します。
そのうえで、チラシを見た人からの問い合わせ件数などを「反響数」として記録し、「反響率」を計測します。
反響率(%)=反響数÷チラシ配布部数×100 |
|---|
一般的なチラシの反響率は0.01~0.3%程度とされていますが、これはあくまで参考値です。反響率や手渡し時の相手の反応などから定期的に評価を行い、活動の継続や改善の判断材料としましょう。
チラシの作成には手間とコストがかかるため、効率的な方法を選びましょう。
チラシのデザインを用意する方法は主に三つあります。
1. デザインを外注する:デザイン会社や個人のクリエイターに依頼する方法です。費用は5,000円から20,000円程度かかることがあります。クラウドソーシングサービス(例:クラウドワークス、ランサーズ)を利用して個人のクリエイターに依頼することも可能です。
2. チラシを一から自作する:Officeソフトや、無料で利用できるデザインツール「Canva」などを使って自作できます。
3. 無料テンプレートを活用する:テンプレートファイルに自ステーションの情報を入力するだけで、簡単に作成できます。インターネット上で検索すると、デザイン済みの無料テンプレートが数多く公開されています。これらを活用すれば、一からレイアウトを考える必要がなく、短時間で一定のクオリティのチラシを作成できるため、最もおすすめの方法です。
また、公的な資料も参考になります。例えば、神奈川県では、訪問看護の普及啓発を目的として、ケアマネジャー向け、医療機関職員向け、県民向けの3種類の活用チラシが公開されています。
デザインが完成したら印刷に移ります。印刷は、費用や品質によって選択肢が異なります。
• ネット印刷を利用する:大量に、かつ高い品質で印刷したい場合に適しています。ネット印刷会社(例:ラクスル、プリントパック)では、日数に余裕をもって発注すれば費用を抑えられます。例えば、500部を印刷する場合、1枚あたり6~8円程度で依頼できる場合があります。地域住民向けにポスティングを外注したい場合は、印刷とポスティングがセットになったサービスを利用することも可能です。
• 近くの印刷サービスを使う:コンビニやKinko'sのような印刷サービス提供店舗を利用する方法です。業務用のレーザープリンターにより比較的高品質な印刷が可能ですが、カラー印刷の場合、1枚あたり60円程度と、大量印刷ではコストが高くなる可能性があります。
• 自ステーションのプリンターで印刷する:家庭用インクジェットプリンターはインクがにじむ可能性があるため注意が必要ですが、業務用のレーザープリンターであれば、印刷サービスと同等の品質で印刷できます。光沢のある用紙や厚手の用紙を選ぶと、見た目の良い仕上がりになります。

ここまで記載する内容を考えたところで、実際にパンフレットを作成していきます。添付の無料テンプレートを使用した場合、作成手順は次の通りです。
※誰でも簡単に作成できるようCanvaという画像作成・編集ツールでご案内させていただいております。そうすることで、専用のデザインソフトを導入する必要がございません。
①テンプレートをダウンロード
②Canvaに登録(無料)
③必要な情報を書き込む
(画像を選択する・色を変える)
④共有→ダウンロード→ファイルの種類→PDFで保存
CanvaとはオーストラリアのCanva 株式会社がリリースしている、PCで簡単に画像の作成・編集ができる、無料のデザインツールです。月間のアクティブユーザーは6,000万人以上で、世界190カ国で利用されています。Canvaの最大の特徴は、ドラッグアンドドロップ等の簡単操作でデザインを作成できることです。ほとんどの操作は無料で行うことができます。Canvaの詳細な利用方法は以下を参照ください。
Canvaの使い方:https://www.canva.com/ja_jp/learn/howto/
・【利用者・ご家族向け】ステーション紹介パンフレット(春)
・【利用者・ご家族向け】ステーション紹介パンフレット(夏)
・【利用者・ご家族向け】ステーション紹介パンフレット(秋冬)
・【ケアマネジャー・医師向け】ステーション紹介パンフレット(春)
・【ケアマネジャー・医師向け】ステーション紹介パンフレット(夏)
・【ケアマネジャー・医師向け】ステーション紹介パンフレット(秋冬)
以下パンフレットのイメージ



データが完成したところで、次は印刷を行います。
印刷は大きく分けて「自ステーションのプリンターで印刷する」、「ネット印刷に依頼する」の2パターンあります。
自身で印刷を行う場合は、折込みチラシなどにはマットコート紙やコート紙、色上質紙などを使用することが多いです。プリンターに用紙をセットし、作成したpdfを必要な部数で印刷しましょう。
ネット印刷可能なサービスには、ラクスル・プリントパック・Canvaなどがあります。発注する場合は、次のステップで注文しましょう。
・注文画面を開く
・pdfデータをアップロード
・仕上がりサイズ:「A4の1/3仕上がり」を選択
・折り方:「巻き3つ折り」を選択
・紙の種類を、「コート紙」「マットコート紙」「上質紙」からいずれかを選択
・印刷カラー:「両面カラー」を選択
・印刷部数を設定
・納期を設定

ここまで、パンフレットの作成の流れ、そして作成後の営業のコツを紹介しました。一方で、営業をするためには時間の確保が重要課題です。そんなときは訪問スケジュール作成に特化した専用のツール活用をお勧めします。それが訪問スケジュール自動作成ツール『ZEST』です。『ZEST』をご活用頂くことでどのような利点があるのかご紹介します。

チラシを見て連絡をくれたケアマネジャーに対し、「空きを確認して折り返します」と待たせていませんか?
『ZEST SCHEDULE』なら、スタッフのスキルや相性など複雑な条件を加味した訪問スケジュールを自動作成し、リアルタイムの「空き枠」を可視化します。問い合わせの電話口で即座に受け入れ可否を回答できるため、チラシが生んだ紹介のチャンスを逃さず、確実な獲得につなげます。
チラシの効果を高めるには「どこに配るか」の戦略が不可欠です。
『ZEST BOARD』は、現在の利用者分布を地図上にヒートマップで表示し、自ステーションのシェアが低いエリアや、未開拓の居宅介護支援事業所を一目で可視化します。
「どの地域の、どの事業所にチラシを届けるべきか」をデータに基づいて判断できるため、闇雲な配布をなくし、確度の高い効率的な営業戦略を立てることができます。
チラシは「配って終わり」ではなく、その後のフォローが重要です。
『ZEST RRM』は、ケアマネジャーへの配布履歴や、その時の反応をスマホで簡単に記録できる営業管理ツールです。「いつ・誰に・どのチラシを渡したか」を蓄積することで、次回訪問のタイミングや会話の糸口を逃しません。
属人的になりがちな営業活動を「データに基づく組織的な活動」へと進化させ、チラシの効果を最大化します。
訪問看護ステーションの開業準備中は、さまざまな手続きと営業活動を並行して進める必要があり、チラシやパンフレットをいかに効率良く作成するかが課題となります。
作成の手間を省きたい場合は、無料で提供されているチラシテンプレートの活用や、デザインを専門とする外部サービスを利用すると良いでしょう。
また弊社では、訪問スケジュール作成ツール『ZEST』を中心に3つのプロダクトで経営をお支えしております。また、ZESTをご利用いただいているステーション様より、ZESTを導入したことで営業力が向上したというお声を多数いただいております。毎日無料オンライン説明会を行っておりますので、ご興味がございましたら是非お申込みください。
お役立ち情報の他に無料の経営セミナーなどを行っております。実際に経営に成功しているステーションの経営者にご登壇いただくセミナーもございますので、是非ご参加ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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