
これから開業される方も、既に運営されている方も訪問介護事業はどこまで売上を上げられるのか?利益はどこまで出せるのか?といったお悩みを持たれている方も多いのではないでしょうか?
高齢化が進む中、介護サービスの需要は増加しておりますが、実は廃業率・休止率が高いなど経営課題を抱える事業者も多く、安定した経営を実現するためには継続的な事業成長が必要となります。本記事では、訪問介護事業者が収益を最大化する方法について解説します。


訪問介護の事業運営を行っていく中で、他の事業所はどの程度の売上・利益が出ているのか?全国平均値と自社の状況とを比較すると現状はどうなんだろうか?といったお悩みをお持ちの方も多いかと思います。そこで、まずは全国の訪問介護事業所の様々な経営指標の平均値を確認してみましょう。
まずは全国に35,000事業所ある訪問介護事業所全体の数値を見てみましょう。
厚生労働省の調査によると、全国の訪問介護事業所の令和4年度の平均月間収入(=売上)は301.1万円となっております。内訳としては、月間訪問件数は759.6件、平均単価は3,965円となっており、これをかけ算したものが売上となっております。また、平均常勤換算数は7.3人のため、1人当たりの平均売上は約41万円、1人当たり104.6回/月(1日5.23件)の訪問を行って上記の数値となっております。
上記で記載した数値はあくまでも全国平均の値となります。ご自身の今の状況に近いステーションの状況も確認した上で、健全性を判断することをお勧めいたします。下記に示した表が訪問件数ごとの経営指標数値となります。事業所の規模が大きくなればなるほど収入が上がるのはもちろんのこと、利益率も向上する傾向にあることがわかるかと思います。
また、この利益率と大きく相関する指標として注目していただきたいものが、1人あたりの訪問件数となります。この指標が高い=稼働率が高い状態であり、1人ひとりの職員の方々が生み出す収入が高い状態となります。逆に、全体の訪問件数が1,000件を超えるほど大きくなかったとしても高い稼働率での運営を実現できていれば利益率を引き上げられる可能性もあります。ご自身のステーションの状況と収入だけでなく内訳も含めて比較してみましょう。
延べ訪問回数階級 | 収入 | 常勤換算職員数 | 事業所全体の | 1人当たりの | 収支率 |
|---|---|---|---|---|---|
200回以下 | ¥668,000 | 3.2人 | 123.0回 | 38.4回 | 1.2% |
201~400回 | ¥1,314,000 | 4.0人 | 296.8回 | 74.2回 | 1.4% |
401~600回 | ¥2,023,000 | 5.7人 | 495.0回 | 86.8回 | 5.0% |
601~800回 | ¥2,922,000 | 7.8人 | 693.6回 | 88.9回 | 6.2% |
801~1000回 | ¥3,444,000 | 8.2人 | 892.8回 | 108.8回 | 6.1% |
1001~1200回 | ¥4,844,000 | 10.9人 | 1093.2回 | 99.9回 | 6.6% |

冒頭から平均値など一気に数字をお伝えしてしまいましたが、これから開業される方においては、そもそも売上の仕組みを理解することが重要です。
基本的な構造は(基本報酬+加算・減算 単位数)× 地域区分で決められた単価 となっておりますので、1つずつご説明いたします。
訪問介護の基本報酬はご存じの方も多いかと思いますが、「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3つに分類されます。「身体介護」と「生活援助」はサービスの提供時間に応じて単位数が決められています。
単位数は以下の通りです。
種類 | 所要時間 | 単位数 |
|---|---|---|
身体介護 | 20分未満 | 167単位 |
20分以上30分未満 | 250単位 | |
30分以上1時間未満 | 396単位 | |
1時間以上 | 579単位に所要時間1時間から計算して30分経過するごとに84単位を加算 | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 183単位 |
45分以上 | 225単位 | |
通院等乗降援助 | 99単位 |
訪問介護の主な加算種類と単位数・単位率は以下の表のようになります。
加算名 | 単位数または加算率 | |
|---|---|---|
初回加算 | 200単位/月 | |
生活機能向上連携加算 | (Ⅰ) | 100単位/月 |
(Ⅱ) | 200単位/月 | |
認知症専門ケア加算 | (Ⅰ) | 3単位/日 |
(Ⅱ) | 4単位/日 | |
介護職員処遇改善加算 | (Ⅰ) | 13.7% |
(Ⅱ) | 10% | |
(Ⅲ) | 5.5% | |
介護職員等特定処遇改善加算 | (Ⅰ) | 6.3% |
(Ⅱ) | 4.2% | |
介護職員等ベースアップ等支援加算 | 2.4% | |
特定事業所加算 | (Ⅰ) | 20% |
(Ⅱ) | 10% | |
(Ⅲ) | 10% | |
(Ⅳ) | 3% | |
(Ⅴ) | 3% | |
特別地域訪問介護加算 | 15% | |
中山間地域等における小規模事業所加算 | 10% | |
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 | 5% | |
緊急時訪問介護加算 | 100単位/回 | |
介護報酬の1単位当たりの単価は地域によって、「1~7級地」と「その他」の8つに区分されています。
地域区分 | 単価 | 適用地域 |
|---|---|---|
1級地 | 11.40円 | 東京都特別区 |
2級地 | 11.12円 | 神奈川県横浜市、大阪府大阪市、東京都町田市など |
3級地 | 11.05円 | 埼玉県さいたま市、千葉県千葉市、神奈川県鎌倉市など |
4級地 | 10.84円 | 千葉県船橋市、東京都立川市、茨城県牛久市など |
5級地 | 10.70円 | 茨城県水戸市、京都府京都市など |
6級地 | 10.42円 | 宮城県仙台市、栃木県宇都宮市、群馬県高崎市など |
7級地 | 10.21円 | 北海道札幌市、長野県長野市、山梨県甲府市など |
その他 | 10.00円 | 1級地~7級地以外 |

ここまで概念をメインにお話をしてきましたが、実際に売上を上げるためには何を行うべきなのか?についてお話していきます。先ほどもお伝えしましたが、売上の構造は(基本報酬+加算・減算 単位数)× 地域区分で決められた単価となっております。基本報酬・地域区分で決められた単価は事業所側からはコントロールできない部分になってしまいます。
コントロールできるのは上記で言う「加算・減算単位数」のみであり、その他については大前提となる訪問件数をいかに増やすか?のみとなります。実際に内容を見ていきましょう。
上記で述べた通り、シンプルに加算をどれだけ獲得できるか?は売上を上げる効果的な方法となります。先ほどもご紹介した通り、訪問介護には多くの加算があります。国や厚生労働省が推進する制度や政策等が反映される傾向があり、法令制度によって加算の要件が変更されたり、新たな加算が追加されることもあります。そのため、法改正が行なわれるときには、かならず情報をキャッチアップできるようにしておきましょう。
加算獲得以外で売上を上げるためには、訪問件数を伸ばす必要があります。そのためのわかりやすい指標として、利用者さんの確保が重要となります。そのためには、まず事業所を知ってもらうことが必要であり、営業活動が必須となります。居宅介護支援事業所や地域包括支援センターへ営業活動を行い事業所の認知を広げましょう。
また、ケアの質が高いことや対応が丁寧であることで利用者さんの満足度が向上し、それが口コミ等でケアマネさん等の耳に入れば継続的な新規依頼に繋がります。
さらに、ケアマネジャーなど多職種との関係をもつ職種の方であればあるほど、「報連相のスピードが早いこと」「相談をしたときに迅速に対応いただけること」は日々多忙な業務をこなすケアマネさんを大いに助けることとなります。その結果、「まずはあの事業所に相談してみよう」という気持ちが生まれ、新規依頼に繋がりやすくなります。このような日々の活動も営業の成果に繋がることを忘れずに取り組みましょう。
収益性のところで稼働率の重要性について触れたと思いますが、訪問件数のアップないし利益率の向上の為にも稼働率を上げることは重要です。そもそも訪問介護では必ず移動が伴います。その中で訪問ルートが考慮されておらず、非効率な導線でのスケジュールであれば、本来6件回れたところが5件で終わってしまうといったこともあるでしょう。
また、移動時間が長いことはスタッフにとっても負担になるので、現状の訪問ルートが効率的か見直してみることをお勧めします。訪問ルートが効率化されることで、空き時間が生まれ、訪問件数を増やせたり、研修やカンファレンスの実施など、利用者さんのために使える時間が確保できるようになります。

売上を向上させることはもちろん重要ですが、コストを削減することも売上アップと同じ効果があります。コストを見直す具体的なポイントを2つ解説します。
訪問介護業界におけるコストの多くを占めるのが人件費となります。しかし、訪問介護の有効求人倍率は15.53%と非常に高く、新しい人材を確保するのは容易ではありません。その為、基本給を減らすことは難しいかもしれませんが、業務の効率化等によって残業代を減らすことは可能ではないかと思います。業務の効率化にはデジタルツールの活用が効果的であり、例えば、電子カルテの活用で記録業務をデジタル化したり、チャットツールの活用で報連相を簡単に行なえるようにする、訪問スケジュールの活用で作成時間ならびに移動時間を削減するなど、事業所の課題に適したデジタルツールの活用で効率化を行い、コストの削減に努めましょう。
また、こうした効率化の取組によって働く環境も改善すれば、離職率も下落し、追加で採用コストがかかってしまうことも防ぐことができます。介護業界の採用単価は、求人サイトに掲載する場合は10~100万円、人材紹介会社からの紹介の場合、採用人材の年収の30%前後のコストが発生すると言われてます。そのため、まずは新しい人材を確保するよりも、今いるヘルパーが継続して働きやすい環境作りに注力することが大切になります。
訪問介護事業所を運営していく中で毎月発生する固定費を見直すことで、コストダウンが見込めます。構成比はそこまで高くないかもしれませんが、毎月固定的にかかってきてしまうコストとなる為、小さな改善でも中長期的に見れば大きなインパクトをもたらしてくれます。実際に見直しができる固定費は以下のようなものが考えられます。
・インターネット回線の通信料
・電気料金
・スマートフォン・タブレットの通信料
・リース料
・損害賠償保険や自動車保険、火災保険などの保険料


『ZEST』は、訪問スケジュールを最短1秒※で作成可能なツールです。また、スケジュール作成の効率化、移動時間の軽減はもちろんのこと、ステーションの働き方改革にも貢献します。実際に『ZEST』をご活用いただくで売上UPにどのように貢献できるのかをご紹介いたします。

訪問スケジュール自動作成クラウド『ZEST』は、スケジュール作成者に代わって、利用者さんの希望時間や利用者さんと職員のマッチング項目、職員の勤務シフトなどの条件に加え、担当者の固定やチーム制、ローテーション、複数名による同行訪問、施設やご夫婦への訪問など業界ならではの条件まで考慮し、人が考え抜いたかのような最適解をご提案し、スケジュール作成者の負担を軽減します。
さらには、Googleマップと連携しているため、効率的な移動ルートを自動で計算し、効率的な訪問ルートで無理なく1日の訪問可能件数を増やし、スタッフの移動による負担を軽減します。
※データ量、ネット環境、条件の複雑さによって時間は変動します。

『ZEST』で作成した訪問スケジュールのデータから、経営指標を見える化する『ZEST BOARD』では、訪問件数・時間はもちろんのこと、曜日別の稼働率や職員別の移動時間やアイドリングタイムを集計・グラフ化できます。
さらに、訪問以外の予定も管理できるようになったことにより、職員が業務時間の中で何に時間を割いているのかが一目で確認できるようになりました。これにより、業務改善や人事考課に役立てることができ、ステーションの健全な運営を叶えることができます。
訪問介護での売上・利益を上げるための方法などを網羅的にお伝えさせていただきました。その中でも稼働率の向上による売上・利益の向上、非効率な業務の効率化によるコスト削減は大きなインパクトをもたらしてくれます。デジタルツール活用のコストと、売上アップ・コスト削減効果を比較し、効果のあるデジタルツールは積極的に導入して経営・運営を改善していくことをお勧めします。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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