
訪問看護ステーションの開設を計画している方は、いざ準備を始めてみると何から始めたら良いのかわからない、という方も多いのでは無いでしょうか?
今回は、訪問看護ステーションを開設するための基準や立ち上げのために準備すべきものをご紹介いたします。ぜひ最後までお読みいただき、ステーションの開業にお役立てください。

訪問看護ステーションの『指定基準』とは、介護保険法に基づき、厚生労働省の「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」によって、定められています。訪問看護ステーションを開設するためには、これからお話する3つの指定基準を満たしていることが必要であり、その上で各都道府県知事から「指定居宅サービス事業者」の指定を受けることで「指定訪問看護ステーション」としてサービス提供が可能になります。また、介護保険法で「指定居宅サービス事業者」の指定を受けていれば、医療保険でも指定を受けたとみなされます。それでは、詳しく見ていきましょう。

前項で解説いたしました、訪問看護ステーションの指定基準が「人員基準」「設備基準」「運営基準」の3つです。それぞれの詳しい基準を解説いたします。訪問看護ステーション開設のためにクリアしなければならない基準となるため、正しく理解しておきましょう。
管理者
・資格要件・・・保健師、看護師
・配置基準・・・専らその職務に従事する常勤の者1名
看護職員
・資格要件・・・保健師、看護師、准看護師
・配置基準・・・常勤換算方法で2.5以上(うち、1名は常勤のこと)*
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士
・資格要件・・・理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護を実施する場合に配置
・配置基準・・・実情に応じた適当数(配置がなくても可)
*「常勤換算方法」とは、当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤従業者が勤務すべき時間(32時間を下回る場合は32時間を基本)で除することにより、 当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいいます。
健康保険法における設備基準には以下の2点があります。
・事業の運営を行うために必要な広さのある専用の事務室を設ける。
・訪問看護の提供に必要な設備および備品等を備える。
事業の運営に必要な広さのある事務室を設ける必要がありますが、同じ敷地内に他の事業所や施設がある際は、ステーション運営に必要な広さがある専用の区画を確保できれば問題ありません。また、広さ以外でも設備基準がありますので事務所を探す際に次の5つのポイントに注意しましょう。
事務室
広さの規定はありませんが、机や書庫などの備品が収容できる程度の広さは必要です。部屋の一画では認められないので専用区画が必要になります。(パーテーションやカーテンなどで区分) また、自宅兼事務室として申請する場合は、事務室と自宅のプライベート部分を明確に区分する必要がありますので注意が必要です。
相談室
相談者のプライバシー保護の観点から個室が望ましいですが、パーテーションでの仕切りも可能です。その場合は高さなどに注意して下さい。
衛生設備
独立洗面台
感染症予防のため、衛生的な消毒スペースとして洗面台が必要となり、ハンドソープとペーパータオルの設置も必要です。ただし、手指衛生以外の物品(歯ブラシやコップなど)は置かないようにしましょう。また衛生管理を行う上で玄関や共有スペースには手指消毒用アルコールを置きましょう。
鍵付きの書庫
訪問看護では契約書など大切な個人情報を管理するために必ず、鍵付きの書庫(ロッカー・キャビネット)を設置します。ステーションの指定を受ける申請をする際には、事務所内の写真が必要ですので、書庫を撮影する際は鍵がかかる構造ということがわかるようにをはっきり写しておきましょう。
防火対策
消火器やスプリンクラーの位置も確認しましょう。指定を受けるには、法令に適合した安心・安全な建物であることが大前提です。
人員と設備が確保できたら、厚生労働省令に定める運営に関する基準に従って、適正な事業の運営ができることが必要です。
運営基準の項目は下記となります。
・内容及び手続きの説明及び同意
・提供拒否の禁止
・提供困難時の対応
・受給資格等の確認
・心身の状況等の把握
・保健医療サービス及び福祉サービス提供者との連携
・身分を証する書類の携行
・利用料
・指定訪問看護の基本取扱方針及び具体的取扱方針
・主治医との関係
・訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成
・利用者に関する全国健康保険協会、後期高齢者医療広域連合又は健康保険組合への通知
・緊急時の対応
・管理者の責務
・運営規程
・勤務体制の確保等
・掲示
・秘密保持
・広告
・苦情処理
・事故発生時の対応
・会計の区分
・記録の整備
・事業報告
出典
厚生労働省 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準

訪問看護ステーション開設までステップがいくつかあるので、開設後、スムーズに業務が開始できるように準備を進めていきましょう。
訪問看護事業は個人での開設ができないため、法人格が必要となります。
医療法人や社会福祉法人、NPO法人といった法人格や『株式会社』や『合同会社』でも訪問看護を運営できます。「株式会社」は信用度が高いですが、設立資金が高いというデメリットもあるため、資金や目的に応じて法人格を検討しましょう。
また、定款の事業目的欄に「介護保険法に基づく訪問看護事業」と入れる必要があります。新規で立ち上げる場合は必ず記載し、すでに法人がある場合には定款や寄付行為の変更が必要になるため、忘れずに実施するようにしましょう。
訪問看護ステーションを開設する市区町村の介護保険や老人医療の担当者と面談を行い、訪問看護ステーションの開設意向、開設場所、訪問看護事業の目的・理念、運営方針などを説明しましょう。協議を実施し、指定申請手続きなどについて不明点やポイントなどの情報を得ることも目的の一つです。また、政令指定都市以外の地域に開設する際は、都道府県知事の指定を受けることも必要となるため、都道府県の担当者とも面談を実施しておきましょう。
訪問看護の保険請求後、事業所に支払われるまでに2か月ほどかかるため、開設してから支払いがあるまで3か月経過してしまいます。
また、初めから経営に必要な数の利用者さんを確保できない場合も十分にあります。
利用者さんを獲得出来ていなくても、看護師などスタッフへの給与や事業所の賃貸料などは発生するため、安定した売上を達成するまでの半年~1年分(約1,000万円)ほどの資金を準備しておかなければなりません。
自己資金では補えない場合は、下記の方法で資金調達を行い、事前に資金を確保しておくことが重要となります。
・付き合いのある銀行や信用金庫から融資を受ける
・日本政策金融公庫から創業融資を受ける など
訪問看護を開設するには、主たる事務所が必要になるので、サービスの提供地域や事業所の場所が決まったら、訪問看護の事務やスタッフの待機場所として、事務所を契約します。介護保険の設備に関する基準には、事務所の広さは定められていませんが、以下の要件を満たすことが求められています。
・事業の運営を行うために必要な広さがあること
・利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースがあること
訪問看護ステーションの職員として働く保健師、看護師、または准看護師を採用します。訪問看護ステーションでは、人員に関する基準として「保健師、看護師または准看護師を常勤換算方法で2.5人以上配置すること」と定められています。そのため、事業所の指定申請を行うまでに少なくとも3人以上(ご自身が看護師として働く場合には2人以上)を採用する必要があります。立ち上げ時には最低限の3人で始めることがほとんどのため、長期間働いてくれるスタッフを採用できるよう、採用活動を早めに開始することがポイントです。
また多くのステーションで人材不足も問題となっているため、職場環境や福利厚生を整え長く働き続けやすい環境作りも大切です。
訪問看護ステーションを運営するために必要となる設備・備品等を手配します。一般的には以下のような備品等が必要となります。
・相談用の応接セット
・事務机
・事務椅子
・パソコン・タブレット
・プリンター・コピー機
・電話・FAX設備
・書棚・書庫
・ロッカー
・文具等の事務消耗品
・感染対策用品
指定基準を満たしたら、訪問看護ステーションの都道府県または市区町村に指定申請を行います。指定申請では、指定申請書及び添付書類を作成・準備し、提出します。都道府県によって準備する書類や指定申請を行う期限、場所が異なります。準備する書類が多いため、事前に都道府県に確認をし、早めに準備しておくことがお勧めです。
提出された指定申請書・添付書類に基づき、指定権者(都道府県または市)による審査と、必要に応じて実地調査が行われます。審査が無事に終わると指定通知書が届きます。
また指定を受けた後「6年ごと」に指定の更新を行わなければ、事業を続けることができません。さらに、介護保険法等に基づき、健全で適正な運営ができているのかを所轄官庁によって定期的な指導(集団指導・実地指導)が実施されます。所轄官庁の担当職員が事業所を訪問し、事業所の運営や請求について書類等の確認、従業者等へのヒアリング、事業所の見学等が行われます。
審査完了後、指定通知書は訪問看護ステーションに届きます。都道府県によって異なりますが、届け出から通知書を受け取るまで、平均で1~2ヵ月ほどかかります。届くまでの間に、賠償責任保険への加入、加算等の体制の届け出、業務管理体制の届け出を行っておきましょう。また、開設後は利用者さんの確保をスムーズにするために、訪問看護ステーションの宣伝や挨拶周りを行い、医療機関や居宅介護支援事業所などとも連携を図りましょう。
また、職員の研修も十分に行い、訪問看護のサービスの質を高めましょう。

訪問看護ステーションの指定申請に必要な書類は下記となります。都道府県や市区町村によって必要書類が異なるため、事前に確認をしておきましょう。
・指定居宅サービス事業所・指定介護予防サービス事業所 指定申請書
・訪問看護・介護予防訪問看護事業所の指定にかかわる記載事項
・定款のコピー(原本証明が必要です)
・登記事項証明書
・従業者の勤務体制および勤務体制一覧表
・役員名簿
・欠格事由に該当していない旨の誓約書
・組織体系図
・管理者の資格証のコピー
・訪問看護員の資格証のコピー
・事業所の写真(外観・内観)
・事業所の平面図
・事業所の案内地図
・事業所が賃貸である場合はその賃貸借契約書のコピー
・運営規程
・資産の状況を証明する書類
・ご利用者の苦情処理を講ずる措置の概要
・損害保険加入を証明する書類
・介護保険給付に係る体制等の状況一覧表

訪問看護ステーションを開設するために2種類の資金が必要となります。どちらも重要な資金となりますので、違いを正しく理解し、準備をしておきましょう。
設備資金は、事務所の契約にかかる費用や自動車・自転車などの車両、事務機器等の備品の準備に必要な資金です。初期費用として、金額が大きくなるため、事前に十分な資金を準備しておきましょう。
主な設備資金は下記のようなものです。
・物件取得費
・電子機器代
・車両費
・広告宣伝費
・備品購入費
・指定申請手数料
・会社設立費用
運営資金は、家賃、人件費や消耗品などを指します。運転資金とは、訪問看護ステーションで業務を行う上で必要になる「人」や「物」に対する費用のことです。運営していく中で継続的に発生するため、年間でどのくらいかかるのか、事業計画とともに予算などを確認しておきましょう。
主に下記の3つが運営資金となります。
・人件費
・水道光熱費
・雑費

訪問看護ステーションを開設後、なるべく早く運営を安定させるために下記の4つを行う必要があります。
開設直後は特に、新規の利用者さんの獲得が難しいです。新規利用者さんの獲得には営業活動が重要となるため、地域の居宅介護支援事業所のケアマネジャーや地域包括支援センターのソーシャルワーカーへ営業を行いましょう。開業後すぐに利用者さんを獲得するためには、開業準備を行っている段階から営業をしておくこともおすすめです。
他のステーションとの差別化を図るためにも、ステーションの強みや特徴を名確にしておき、その強みがわかるようにパンフレットやチラシを作ることで依頼が貰いやすくなります。
利用者さんを集めるためには、訪問看護ステーションの看護の質を担保することが大切です。利用者さんを紹介してくれる、ケアマネジャーやソーシャルワーカーも利用者さんやそのご家族と直接関わるため、利用者さんからの良い口コミも悪い口コミも伝わりやすいです。日々のケアがステーションの評判に関わってくるため、スタッフの看護の質を高めることが重要です。
また、病棟看護の経験はあるが、訪問看護は初めてという看護師も少なくないため、看護師としての経験が十分にあっても研修を行うことでスタッフも安心して訪問に臨むことができます。
訪問看護では一日に数件の利用者さんのご自宅を訪問するため、訪問スケジュールの作成が必要不可欠となります。利用者さんによって訪問時間や内容、スタッフの指定や相性などがあり、訪問先から次の訪問先への移動時間も考慮しながら効率の良い訪問スケジュールを作成しましょう。
ただ、スタッフの急なお休みや利用者さんのご都合による変更などで日々微調整が必要です。また、作成したスケジュールに漏れが発生してしまった場合には、クレームなど利用者さんからの信頼を失ってしまいます。
様々なことを考慮して作成しなければならないため、多くの時間と労力が必要となるためスケジュール作成ツールを活用することがおすすめです。
さらに、訪問看護の開設に不安を感じていたり、準備が大変だと感じている方は、ZESTとデータ連携をしている請求システム「カイポケ訪問看護」が提供する開業支援サービスもおすすめです。専任のスタッフが皆様の開業をサポートいたします。

様々なことを考慮しながら作成しなければならない訪問スケジュールですが、訪問スケジュールを自動作成するデジタルツールの『ZEST』を使用することで、ボタン一つで訪問スケジュールを作成できます。作成時間の短縮や訪問漏れなどのミスも無くすことが可能になるため、作成者の時間や気持ちにゆとりが生まれます。こちらでは『ZEST』の機能をご紹介いたします。
訪問看護を行う上で、どうしても「このスタッフさんは苦手」ということがあったり、「入浴があるから女性のスタッフがいい」などの希望が出ることがあります。
『ZEST』では、利用者さんとスタッフとの相性を考慮し、利用者さんの訪問に行けるスタッフを個人で設定できるのはもちろんのこと、性別、資格なども事前に設定しておくことでボタン一つで、スケジュールに割り当てることが可能です。
また、この細かい要望の全てを把握しているのが作成者だけで、スケジュールを作成が属人化していたり、把握していても忘れてしまい、訪問の直前で気づいたり、そのまま訪問してしまいクレームに繫がってしまう、といったことも『ZEST』を活用すれば解決できます。
『ZEST』は、Googleマップと連携しているため、移動距離も考慮し効率的な訪問スケジュールが作成できます。
ホワイトボードやエクセルで作成する際には1件ずつ移動時間を調べたり、実際には想定していた時間よりも移動時間が足りず、訪問に間に合わない、逆に想定した時間が多すぎて時間を余らせてしまうといったことも発生しやすいです。
『ZEST』を活用し移動時間を効率化することで、訪問件数を増やすことができたり、スタッフの時短勤務など働き方を広げることも可能となります。
訪問スケジュールでは、毎日の微調整が付き物です。スタッフの急なお休みや利用者さんのご都合での時間変更、急な依頼など事前に作成をしても、変更が必要です。
『ZEST』では作成済みのスケジュールもホワイトボード上で変更するように、ドラック&ドロップで簡単に変更が可能です。さらに、変更した先が担当のスタッフでは無かったり、利用者さんの希望の時間ではない場合には『ZEST』の「要調整機能」でお知らせをしてくれるため、誰でも間違えることなく操作が可能です。
今回は訪問看護ステーションの開設基準をご紹介いたしました。開設を予定している方や現在、開設準備をしている方のご参考になれば幸いです。
また、開設当初から『ZEST』を導入いただいているステーション様も多くいらっしゃいます。訪問スケジュールだけではなく、営業に役立つ『ZEST MEET』や経営指標を見える化する『ZEST BOARD』も提供しています。
毎日無料オンライン説明会を行っておりますので、ご興味がございましたら是非お申込みください。
お役立ち情報の他に無料セミナーなどを行っております。実際に経営に成功しているステーションの経営者にご登壇いただくセミナーもございますので、是非ご参加ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
お役立ち情報一覧