home

/

お役立ち情報

/

訪問介護のBCP(業務継続計画)完全ガイド|作成手順から研修・訓練の実践例まで徹底解説 

訪問介護のBCP(業務継続計画)完全ガイド|作成手順から研修・訓練の実践例まで徹底解説 

公開日時:2026.1.23

更新日時:2026.7.10

2024年4月より完全義務化された訪問介護事業所のBCP(業務継続計画)。さらに2025年度(令和7年度)からは、BCPを策定・運用していない事業所に対し「業務継続計画未実施減算(1%)」が適用されています。 「何から始めればいいかわからない」「計画書は作ったが運用できていない」という管理者様も多いのではないでしょうか。本記事では、減算を回避し、何より利用者と職員の命を守るためのBCP策定のポイント、具体的な記載例、研修・訓練の方法までを徹底解説します。

なぜ今、訪問介護にBCPが必要なのか?

BCPの策定は、単なる法令遵守の書類作成ではありません。災害大国である日本において、要介護者の在宅生活を支える訪問介護事業所が、緊急時にも機能を維持するために不可欠な準備です。まずは制度上の義務と、無視できない「減算」のリスクについて正しく理解しましょう。

BCP(業務継続計画)とは

BCPとは「Business Continuity Plan」の略で、自然災害や感染症などの緊急事態において、重要業務を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための計画のことです。特に訪問介護は利用者の在宅生活を支えるライフラインであり、サービスの停止が生命の危機に直結するため、平時からの備えが強く求められます。

未策定の場合のペナルティ(減算)

2025年度(令和7年度)より、BCP未策定の事業所には「業務継続計画未実施減算」が適用されます。訪問介護を含む「その他のサービス」では所定単位数の1%が減算されます。減算を避けるには、単に計画書を作成するだけでなく、職員への周知、研修・訓練の実施、および定期的な見直し(PDCA)を行うことが必須要件となります。

訪問介護における重要性

訪問介護は施設サービスと異なり、職員が各家庭へ出向くスタイルです。そのため、災害時に「職員の安全をどう守るか」「孤立する利用者の安否をどう確認するか」が非常に重要になります。インフラ停止や人手不足の中でも、食事や排泄といった生命維持に直結するケアを継続するために、実効性のあるBCPが不可欠なのです。

訪問介護が作成すべき2種類のBCP

介護事業所のBCPには、大きく分けて「自然災害」と「感染症」の2つの側面があります。これらは発生時の動きや対策の優先順位が異なるため、それぞれの特性を理解し、両方の計画を策定する必要があります。

① 自然災害BCP(地震・水害等)

地震や台風などの災害時に、利用者と職員の安全を確保し、サービスを継続・復旧させるための計画です。ハザードマップによる事業所や利用者宅のリスク把握、発災時の安否確認フロー、職員の参集基準などを定めます。建物・設備の安全対策(家具固定など)や、電気・水道停止時の代替策も事前に検討が必要です。

② 感染症BCP(新型コロナ・インフルエンザ等)

新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染拡大防止と、サービス継続の両立を目指す計画です。平時の備蓄(マスク、ガウン、消毒液等)確保に加え、感染疑い発生時の第一報ルート、濃厚接触者への対応、職員不足時の応援体制などを定めます。特に、感染を広げないための「初動対応」や保健所との連携手順が重要となります。

【実例付き】訪問介護BCP 作成の重要ポイント

訪問介護には「移動が多い」「他職種連携が必須」といった特有の事情があります。汎用的なマニュアルだけでなく、訪問介護の現場実態に即した計画にするための具体的なポイントと基準を紹介します。

訪問介護特有の課題と対策

訪問介護では、災害時に職員が移動中や利用者宅にいるケースが想定されます。そのため、電話が不通になることを想定し、LINEや災害用伝言板など複数の連絡手段を確保する「三角連絡法」が有効です。また、サービスの調整や安否確認においては、居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)との連携が不可欠なため、平時から連絡体制を構築しておく必要があります。

優先業務(重要業務)の選定基準

職員数が限られる緊急時は、全てのサービスを維持できません。生命維持に関わる「食事・排泄・服薬介助」を最優先業務とし、緊急度の低い「掃除・洗濯(家事援助)」は縮小・休止する基準を設けます。例えば「出勤率30%なら食事・排泄のみ」「出勤率70%なら入浴以外実施」といった具体的な縮小基準を事前に定めておくことが重要です。

業務区分

具体的な業務内容

対応方針の例

A:継続業務

食事介助、排泄介助、服薬介助、医療的ケア

最優先で継続。職員が不足しても必ず実施する。

C:縮小・休止

入浴、掃除、洗濯、外出支援

状況に応じて清拭に変更、または休止・回数を減らす。

備蓄品と資金の確保

ライフライン停止に備え、水(1人1日3リットル×3日分目安)や食料、簡易トイレ、感染対策防護具を備蓄します。また、大規模停電時にはクレジットカードや電子決済が使えない可能性があるため、ガソリン代や当面の活動費として、一定額の「手元資金(現金)」を事業所の金庫などに準備しておくこともBCPの重要な要素です。

作って終わりではない!「研修・訓練」の進め方

減算要件にも含まれる「研修・訓練」は、計画を絵に描いた餅にしないために必須です。訪問介護の現場は全員が集まるのが難しいため、工夫して実施する必要があります。実践しやすい具体的な訓練方法を紹介します。

義務化されている「研修・訓練」とは

BCPの実効性を高めるため、年1回以上の研修および訓練の実施が義務付けられています。計画書の内容を職員に周知する座学(研修)だけでなく、実際に計画通りに動けるかを確認するシミュレーション(訓練)を行い、課題を見つけて計画を修正するPDCAサイクルを回すことが求められます。

年間スケジュールのイメージ

一度に全てを行うのではなく、時期を決めて計画的に実施します。

  • 2月(机上訓練): 災害発生から復旧までのシナリオを読み合わせ、役割分担を確認する。

  • 6月(点検): 梅雨・台風シーズン前にハザードマップの再確認と備蓄品の賞味期限チェックを行う。

  • 9月(実地訓練): 防災の日に合わせ、安否確認システムを使った連絡訓練や、避難ルートの確認を行う。

  • 11月(見直し): 訓練で見つかった課題をBCP(計画書)に反映・修正する。

訪問介護で実践しやすい訓練例

訪問介護事業所で実施しやすい訓練には以下のようなものがあります。机上のシミュレーションから始めるのがおすすめです。

訓練の種類

内容と目的

机上訓練

災害発生から復旧までの流れをシナリオに基づき、会議室等でシミュレーションする。役割分担の確認に有効。

安否確認訓練

効率的にBCPを策定・運用する方法

実際に連絡網や安否確認システムを使い、職員の応答率や所要時間を確認する。

参集訓練

災害発生を想定し、職員が安全に事業所まで移動できるルートや時間を検証する。

初動対応訓練

感染疑いの利用者が発生したと想定し、防護具の着用や関係機関への連絡手順を実演する。

効率的にBCPを策定・運用する方法

BCP策定は項目が多く、ゼロから全てを作成するのは大きな負担です。効率的に策定を進めるためのリソース活用法と、外部支援の利用について解説します。

厚生労働省のひな形(テンプレート)活用

厚生労働省が公開している「BCPひな形(自然災害編・感染症編)」を活用するのが最も効率的です。訪問介護用の様式を選び、基本項目を埋めた上で、自事業所のハザードマップ情報や連絡網を追記することで、要件を満たす計画書が作成できます。まずは型通りに作り、徐々に実情に合わせて修正しましょう。

▼厚生労働省のBCPひな形はこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html

外部サービスの活用

通常業務が忙しく策定の時間が取れない、あるいは内容に不安がある場合は、専門のコンサルティングや作成支援サービスへの外注も有効な選択肢です。第三者の視点が入ることで、抜け漏れのない計画策定が可能になります。また、カイポケなどの業務支援システムが提供する研修動画や資料を活用するのも、運用負荷を下げるためにおすすめです。

減算対策から「命を守る運用」へ。BCPの実効性を支える『ZEST』

BCP(業務継続計画)は策定して終わりではなく、有事の際に「誰が・どこで・何をするか」を即座に判断できなければ意味がありません。特に訪問介護はスタッフが各家庭に分散しているため、災害時の情報共有や安否確認のスピードが生命線となります。『ZEST』は、柔軟なスケジュール調整と、オフライン環境下でも強い情報共有ツールを通じて、BCPの確実な運用と、災害時における業務継続の仕組みづくりを強力にサポートします。

1. ZEST SCHEDULE:優先業務への「切り替え」を瞬時に実行

災害時には、出勤可能なスタッフ数に応じてサービスを縮小・休止する「優先業務の選定」が求められます。「ZEST SCHEDULE」を活用していれば、緊急時のスタッフの参集状況に合わせ、食事や排泄といった「最優先ケア」を軸としたスケジュールへの組み替えを迅速に行うことができます。

アナログな調整では時間がかかる多人数分のルート変更も、移動効率を考慮して再構築するため、パニック状態になりやすい発災直後でも、スタッフに迷いのない指示を出すことが可能になります。

2. ZEST HUB:GPS連携とオフライン対応で「止まらない安否確認」を実現

通信インフラが不安定になる災害時、スタッフの安全確保と情報収集を支えるのが「ZEST HUB」のアプリ機能です。スマートフォンアプリ版では、オフライン環境でもスケジュールや利用者情報の一部を確認できるため、電波が途切れた場所でも「次にどこへ向かうべきか」を把握できます。

また、GPS(位置情報)機能により、管理者は各スタッフの現在地をリアルタイムに把握できるため、安否確認訓練や実地訓練においても「誰がどこで孤立しているか」を瞬時に特定する強力なツールとなります。

3. ZEST BOARD:データの可視化で実効性のある「計画の見直し」を支援

BCPのPDCAサイクルにおいて、訓練後の「見直し」は減算回避のためにも必須の工程です。「ZEST BOARD」は、日々の移動ルートや業務時間を自動で蓄積・可視化しているため、参集訓練や移動のシミュレーションにおいて「どのルートにリスクがあるか」「緊急時の移動にどれだけの時間を要するか」を客観的なデータに基づいて分析できます。経験や勘に頼らないデータ主導の計画修正が可能になることで、より実効性の高い、事業所独自のBCPへと進化させることができます。

『ZEST』は、日々の業務効率化だけでなく、いざという時にスタッフと利用者を守る「デジタルの防災拠点」として、BCPの確実な運用と安心な職場づくりに貢献します。

まとめ

BCPの策定は、2025年度からの減算回避のためだけでなく、利用者と職員の大切な命を守るための「守り刀」です。「感染症」と「自然災害」の基本方針を固め、まずは安否確認フローや優先業務の洗い出しから始めましょう。一度で完璧なものを作る必要はありません。訓練を通じて定期的に見直しを行い、事業所全体のリスク対応力を高めていくことがゴールです。

人気コラムランキング

おすすめお役立ち資料

お役立ち情報一覧

arrow_forward

専門のスタッフが課題に
合わせて対応いたします
まずはお問い合わせください

※ZESTは「デジタル化・AI導入補助金2026」対象ツールです