
小学生の頃から“人の役に立ちたい”と思っていました。
スポーツ少年団でバスケのチームに所属していて、父兄の方々に支えられているという気持ちから、感謝の気持ちと恩返ししたいという感覚を持っていました。
明確なきっかけは中学生で参加した通所サービスのボランティアでした。ボランティアで仲良くなったおばあさんがいたのですが、来ない日が続いていて、職員さんに聞いたら「病院でなくなったんだよ」と。人の役に立ちたいと思ってボランティアに行っていたのに、全然役に立てなかったという無力感を感じ、どうしたら人の役に立てるのかを考えたときに、最期というタイミングに手を差し伸べられる仕事をしたいなと思いました。そこで、一番に思い浮かんだのが看護師という仕事でした。
看護学校卒業後は、北海道の急性期病院に勤めていました。震災を機に地元・仙台に戻ってきて、急性期病院に務めていました。そこでは、残業が 100 時間くらいあり、バーンアウトしてしまいました。それからは様々な経験をしたいと考え、新薬を作る臨床研究などを行っていましたが、やはり人と関わるのが好きなので、思い切って訪問看護をやってみようと思いました。病院では患者さんへ時間をかけて話を聞いたり、ゆっくりケアを行うことができないというジレンマがあったので、訪問看護の仕事に魅力を感じました。
その後、訪問看護ステーションに入職しました。そこでは、ステーションとして明確な目標がなかったり、教育体制も昔の方針のままであることに課題意識が生まれ、マニュアルを作ったり、情報共有の効率化を目指しデジタル化の推進に取り組もうとしました。仙台の労災病院で副師長を務めていたことや自分自身管理やマネジメントが得意なので、その経験を活かそうとしたのですが、既に決まった昔からのルールなどを変えていくのはなかなか難しく、実現できない環境にもやもやしていました。
その時一緒に働いていた職員が、そんな様子の私を見て、「榎本さんがそういう風に考えているんだったら、自分のステーションを立ち上げたらいいんじゃないですか?」と言ってくれました。その一言に背中を押してもらい、病院での管理者経験もあるのでできるかもと思ったのも創業のきっかけですね。

リアルな話だと、競合の問題で働いていたステーションから立ち上げのストップをかけられたことがありました。立ち上げたらライバルになるので、全国的にもある問題かなと思いますが、その時は、経営者の方としっかりお話をしましたね。もともと自分はプライドが高い性格だったのですが、自分のやりたいことを言葉にして経営者の方にしっかり頭を下げたというのは、自分の中で 1 つ殻を破ることのできた部分だったので、良い経験だったと思います。
あとは、立ち上げ準備はほぼ一人でおこなったので、書類の準備や提出は大変でしたね。
また、利用者獲得という点でも苦労しました。開業準備中に SNS で、マネジメントや訪問看護への思いを語っていたら、それを見ていた他訪看の方が廃業する際に、「ぜひ Uchi care で見てほしい」と言っていただき、利用者さん 10 名を引き継ぐこととなりました。それまでは良かったのですが、その後の新規獲得は苦労しましたね。思うように新規獲得が増えず、頭を悩ませながら、営業に回っていましたね。最初に依頼をいただいたのは、以前働いていた病院からの依頼で、その後は数か月~半年くらいかけてケアマネさんから依頼をいただくようになりましたね。半年くらいからは毎月 6~10 人くらい依頼を頂いていましたね。それまでは毎月の目標を 6 件にしていて、活動していました。
採用の面ではあまり苦労はしていなくて、以前働いていたステーションから一緒に辞めた方と SNS でつながった方と求人サイトから応募してくれた方と立ち上げをしました。その後もご縁が繋がり、今まで仲良くしていた医療関係者の方々の紹介だったりというのもあり、トントン拍子で話が進んで、応募が来ないという悩みはなかったですね。求人にも必ずSNS とホームページは載せるようにしていたので、そこで私の想いやビジョンに共感した人たちが集まってくれているなという感じがしますね。やはり、同じビジョンを持っているから会社として上手くいっているなという感覚があります。
「全ての人に自分らしいおうち生活を」がステーションのコンセプトなのですが、この意味が、利用者さんもそのご家族、そして職員も、全ての人が自分らしくいられる訪問看護を作りたいという、想いがこもっています。介護をするために、ご家族が仕事を辞めるということが無いようにサポートしたいですし、利用者さん自身も住み慣れた地域で、大好きなご家族と過ごして、幸せな時間にしてほしいです。また、それを支える職員も自分らしさや強みを生かして、幸せな気持ちをもって看護をしてほしいと思っています。
幸福学で、幸せな人は 30%増しのケアができるという記事を見て、私たちの会社で働くスタッフが、幸せな気持ちをもって働いていたら、利用者さんやその家族にも 30%増しのケアができて、それに対して「Uchi care さんのケア、本当にいいよ」といっていただけたら、職員がさらに幸せになり、好循環が生まれるんじゃないかなと思っています。利用者さんもそのご家族、職員も全ての人が自分らしくいられる訪問看護ステーションというのが、私の理想です。
利用者さんやご家族にしっかり向き合えるのが魅力だと思います。
サービス提供の時間でいろんな想いをお伺いしたり、それに対してどんな看護をしたらよいだろうと考えて、オーダーメイドのケアができるというのが訪問看護の魅力かなと思います。利用者さんの人生に豊かさを与えられるというのもすごいところだなと思っています。スタッフが訪問に行った際に、ご家族の方に「待っていたよ~」と孫が来たような感覚で迎えていただくこともあり、本当に幸せな空間だなと感じています。
やりがいという面では、利用者さんご本人も、ご家族もある程度の覚悟をもって自宅で療養する選択をされています。その中で、私達が支援させていただいて、「おうちに帰ってきてよかったよ」とか、「Uchi care さんが入ってくれて、安心して自宅での生活できたよ」っていう言葉をいただいたときに、本当にこれがやりがいだなと感じますね。

看護師 11 名
理学療法士 5 名
作業療法士 1 名
事務 2 名
訪問エリア 仙台市・富谷町・利府町・多賀城市・塩釜市・七ヶ浜町
利用者数 約 150 名
サービス 高齢・精神障害・発達障害・小児に対応
ガン末期や難病など医療処置が多い利用者さんの割合が高い
自費サービス(国際アロマセラピストやリンパ浮腫セラピストが在籍しているため、リンパマッサージやアロママッサージを提供)
※2024/11/11時点
訪問看護に転職して、訪問看護の働きやすさや、やりがいの面で訪問看護の魅力にはまったのですが、最初に入職したステーションでは続けて働くことができず、自分で立ち上げることにしました。
コロナもあったので、在宅移行が進み、どんどん訪問看護師さんが増えていくだろうと思ったのですが、働く環境が整っていないステーションに入職すると、やめる方も多くなるのかなと思ったんですよね。せっかく良い業界なのに、環境が整っていないことで生き生きと働けず、また病院に戻ってしまっては、訪問看護業界が発展しないと思いました。そのため、働く側も自分らしく生きがいややりがいというのを感じられる訪問看護にしたいという想いがありました。
また、訪問看護を通して、地域と繋がりを深めて支え合える関係ができると、サステナビリティというところも実現できると思いました。地域で共生社会をつくろうとしている経営者さんに出会い、高齢者も障害者もみんなが交流してピンピンコロリを実現する地域を作りたいというの聞いて、私の中でビビっときて、弊社のビジョンに繫がっている形ですね。
有資格者が多い専門家集団だというのは、皆さんにお伝えしています。
皮膚排泄ケアの認定看護師や学会に出席する看護師、糖尿病の療養指導士など多くの専門資格を持った看護師やリハビリスタッフがいることで、より専門的なケアが提供できるというのが強みだなと思います。訪問看護で働き始めたとき「病院よりも劣っているな」と感じたことがあり、今ではそのギャップを埋めたいと考えています。病院と在宅では 10 年くらいギャップがあると言われているのですが、各分野の専門資格取得者が在宅に来ることで、そのギャップは埋めることができると思っています。
特徴のないケアをしている事業所と褥瘡に関するスペシャリストや糖尿病・認知症に関するスペシャリストがいるステーションとなると意味合いが変わりますし、より質の高いケアができるので、病院に近い形で専門性のあるケアができると考えています。
組織管理、人材育成が一番大切だなと思いますね。人材は人財といわれるように、人がいてなんぼの仕事なので、人材育成という面も大切にしながら、経営をしないとしっかりとした組織管理ができないと考えています。
事業所としてスピード感のある事業拡大をしているので、人材育成をしっかりしておかないと、最終的に組織崩壊にも影響しかねないと思っています。そのために、理念浸透というところは特に重要だと感じていて、ミーティングや会議の際にミッションやビジョンというところは、都度意識してもらえるように発信していますね。全体の MTG、運営会議、管理者 MTG をそれぞれ月に一回ずつ開催しています。1on1 の面談は年 2 回行っているので、その中で、Uchi care の想いやその年の目標を共有して、スタッフのやりたいことや目標、成長したい部分を話し合いながら、すり合わせをしてサポートできるようにしたいと思っています。
ミッションに「健康と幸せを創造する」というのがあり、地域が健康と幸せであふれる共生社会を目指していきたい、と思っています。Uchi care が地域で健康予防の講師を行なったり、地域清掃などを行うことで、健康寿命を延ばしたりやりがいを伸ばすことで地域の方々は活力にあふれている状態を作りたいですね。そして、最期の時にご自宅でピンピンコロリを実現できると良いなと思います。
今まで仙台で生まれて仙台で育って、自分自身の人生のドラマが仙台であり、どん底を経験したのも、そこから這い上がって起業したのも仙台なので地域への思い入れは強いです。訪問看護を仙台から広めて、東北エリアや他のエリアにも広められたらなと思いますね。

地域と繋がりたいという想いから、今年の春くらいから、地域清掃を行っています。基本的に事業所の周りを地域清掃しているのですが、清掃をしていると、地域の方々とすれ違ったり、挨拶をしたりする中で、この家にはこういうおばあちゃんがいるんだなとか、腰が曲がっていたり、歩行器や車いすが置いてあるなといった地域の実情が見えるようになるんですよね。実際にそういう方々とお話することで、困っていることや、こんなサービスがあったらいいという地域の方々のリアルな声も聞けたりするので、私たちにとって大切な時間になっています。
今は事業所のスタッフだけで行っていますが、いずれ地域の人たちも一緒に行えると、地域のイベントが 1 つ増えて、そこに参加する方々の運動になったりすると意味のあるものになると思いますね。
また、繫がっているケアマネジャーさんが「認知症カフェをやりたい」といって、その準備や立ち上げまでをサポートをさせて頂きました。実際にその認知症カフェで医療的な相談や訪問看護導入するかもしれないとなったときは、Uchi care に相談がくるんですよ。予期していない所から新規の依頼に繋がることもあるんだなというのは、やってみて初めて気づいたことですね。
Uchi care ビレッジというような、訪問看護と複合的なサービスを融合させた共生エリアを作りたいと考えています。訪問看護と居宅介護支援事業所、相談支援事業所、保育園など、地域に求められる事業を集約させて、誰一人残さない社会というのを実現できるエリアをイメージしています。
実はこの Uchi care ビレッジを宮城県に 1 つおいて、全国に広めたいというのが秘めたる夢ですね。
まずは自分の成長にコミットしてチャレンジしていきたいなと思っています。何か一つの目標を置いてしまうとその目標が達成したら終わりになってしまいますが、成長は終わりが無いので、自分自身をどんどん高めていくことで、できることが増えたり、職員が幸せに働けることにも繋がると思います。なので、人間的にも、経営者的にも成長していくことができれば、多くの方を幸せにしていくことができるのではないかなと思っています。
株式会社Uchi care 代表取締役
経歴
急性期病院での勤務経験を経て、2023年1月からうちケア訪問看護リハビリステーションを開業。
自身のSNSでは組織のあり方、教育、業務改善等について積極的に発信。
株式会社Uchi care HP:https://uchicare.net/
SNS
・X:訪問看護のえのもとさん🏠 ✨榎本健太Uchi care Inc./ CEO
・Instagram:榎本健太
・Threads:榎本健太

