
インタビュアー: 本日から新連載企画として、私たちゼストの在宅医療・介護向けSaaSを日々進化させている「開発チーム」にスポットライトを当てていきたいと思います。ホームページなど表側からは見えにくい、プロダクト開発の裏話や、チームのこだわりをご紹介していきます。また、最近世間を賑わせている生成AIについて、在宅医療・介護業界で働かれている方々もすぐに使えるようなTipsなども交えながら、私たちの技術とプロダクトの魅力に迫ります。
第一回は、弊社の技術責任者である取締役CTO、豊島さんにお話を伺います。本日はよろしくお願いします。
CTO: よろしくお願いします。
インタビュアー: 早速ですが、豊島さんがCTOにご就任されてから、特に開発組織づくりでこだわってきた点があると伺いました。まず、その想いについて教えていただけますでしょうか。
CTO: はい。私がCTOに就任した当時、私たちの開発チームは社員エンジニアよりも、外部のパートナーであるデザイナーやエンジニアの方々にご協力いただく部分が多い体制でした。もちろん、その形にもメリットはありますが、私のこれまでの経験上、本当に良いプロダクトをスピーディに届け続けるためには、プロダクト開発の核となるメンバーは自分たちの仲間であるべきだと強く考えていました。
インタビュアー: と言いますと?
CTO: お客様の現場にある課題や想いを深く理解し、共感することから、本当に価値ある機能は生まれると信じています。ユーザー様からの「この機能のおかげで助かった!」という喜びの声や、時には「ここが使いづらい」といったお叱りの声、そうした生々しいフィードバックに直接触れることで、エンジニア自身が「良い機能とは何か」を肌で感じ、学ぶことができるのです。
インタビュアー: 開発メンバーが、よりユーザー視点に立てるということですね。
CTO: その通りです。開発のプロであることは大前提ですが、それに加えて、自分たちが作っている在宅医療・介護という業界にどんどん詳しくなっていく。すると、仕様を決めるプロダクトマネージャーに対して、「この機能は本当に必要ですか?」と本質的な問いを投げかけたり、「そのまま作るのは難しいですが、この方法なら目的を達成できますよ」と代替案を提案したりと、皆でアイデアを出し合いながら一緒に作っていくことができます。外部の方に依頼する場合は、どうしても「正しい仕様をしっかり書いて渡す」というマネジメントが必要になりますが、内製チームなら、その手間をプロダクトをより良くするための議論に使えるのです。
インタビュアー: なるほど。チーム全体でプロダクトを良くしていく、という意識が生まれるのですね。
CTO: ええ。それに、副次的な効果も大きいですよ。例えば、営業メンバーがお客様との会話でふと気になったような些細な疑問も、開発メンバーとの距離が近ければ、質問もしやすく解決のスピードアップが期待できます。プロダクトへの深い理解は、そうした小さなコミュニケーションの積み重ねから生まれるものだと考えています。また、最近話題の生成AIについても、エンジニアは日常業務で頻繁に活用していますから、彼らが中心となって社内への啓蒙活動を行い、組織全体の生産性を上げていくような好循環も生まれています。だからこそ、組織体制を大きく見直すことにしたのです。
インタビュアー: 具体的に、どのような組織を目指されたのでしょうか。
CTO: 特にこだわったのが、プロダクトマネージャー、デザイナー、そしてエンジニアが三位一体で動く「ワンチーム」体制を築くことです。私たちの使命は、テクノロジーの力で、在宅医療・介護の現場で働く皆様の負担を軽減し、本来のケア業務に集中できる環境を創り出すこと。さらに、訪問スケジュールの最適化による収益最大化など、事業所の経営成長までを力強くサポートすることです。それを実現するためには、この体制が不可欠だと考えました。
インタビュアー: 「ワンチーム」であることのメリットは、具体的にどのような点に現れるのでしょうか。
CTO: 一番はプロダクト開発のスピードと質ですね。例えば、プロダクトマネージャーが考えた仕様を、すぐにデザイナーが具体的なデザイン(絵)に起こす。すると、『思っていたイメージと違う』といった認識のズレに早期に気づけますし、経営陣に説明する際も、言葉だけでなく絵があることで議論が格段に進めやすくなります。
特に私たちのプロダクトは、毎日多くの医療・介護従事者の方に使っていただくものですから、見た目の美しさはもちろん、操作性の一貫性が非常に重要です。フルリニューアルを見据える中で、このデザインの哲学をチーム全体で深く共有し、こだわり抜けるチームを作りたかったのです。
インタビュアー: なるほど。チーム内の共通認識が大切だということですね。
CTO: その通りです。全員が当事者として「もっと良くするにはどうすればいいか?」を考え抜く「共創」の文化を大切にしています。
インタビュアー: 「ワンチーム」でのスピーディな開発体制こそが、ゼストの技術力の源泉なのですね。最後に、今後の連載と読者の皆様へメッセージをお願いします。
CTO: はい。本日は、私たちが大切にしている「チーム」の文化についてお話しました。この強い内製チームがいるからこそ、AIのような新しい技術もいち早く取り入れ、プロダクトを磨き込み、お客様への価値として還元できると考えています。
この連載では、私たちのチームメンバーへのインタビューと並行して、皆様の現場でもすぐに試せるようなAI活用の具体的なTipsを、複数回にわたってご紹介していく予定です。次回はまず、私たちがどのようにAIを使って情報共有を劇的に変えたか、その事例からお話します。その先では、プロダクトに命を吹き込むデザイナーやエンジニアたちも登場しますので、ぜひご期待ください。
私たちはこれからも、テクノロジーとチームの力で、皆様の毎日を全力でサポートしてまいります。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
インタビュワー: CTOの豊島さん、本日はありがとうございました。強いチームづくりへのこだわりと、未来への展望がよく分かりました。
次回はAI時代の情報共有術に迫ります。そして次々回は、UI/UXデザイナーが登場予定です。お楽しみに!

取締役 CTO 開発本部長
豊島 正規
京セラコミュニケーションシステム、Fringe81(現Unipos)では、アドテク関連やHR領域SaaSのテックリードとしてサービス立上げ・グロースに従事し、上場を経験。
SheepMedicalでは、執行役員CTOとしてプロダクト開発やエンジニアリング組織マネジメントを推進。
2023年2月にゼストへ参画、同年6月付けで取締役CTOに就任。