お役立ちコラム
訪問看護ステーションの開業・立ち上げまでの流れとは?費用やポイントも解説
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高齢化が進行する日本では、訪問看護ステーションのニーズが増え、開業・立ち上げの件数も増加しています。
開業を考えている皆様は、「訪問看護ステーションを開業するまでの流れ」、「開業準備での注意点」「開業後に失敗しない為にするべきこと」などが気になっているのではないでしょうか?
この記事では、訪問看護の開業・立ち上げの流れ、開業における資金の内容や資金調達、開業するときの注意点やポイントなどをまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。
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目次
訪問看護ステーションの基礎知識
- 訪問看護ステーションとは
- 訪問看護で行う主な内容
- 訪問看護ステーションの現状
訪問看護ステーション立ち上げまでの基本的な流れ
- 事業計画書の作成
- 法人の設立
- 資金の確保
- 開設場所の決定
- 設備や備品の準備
- 従業員の確保
- 都道府県への申請
訪問看護ステーションを立ち上げるための指定基準
- 人員の基準
- 設備の基準
- 運営の基準
訪問看護ステーションの立ち上げに必要な費用
- 法人設立の登録費用
- 指定申請手数料
- 事務所契約の初期費用・賃貸料
- 設備や備品の購入代金
- 社用車の購入費用・維持費
- 人件費
- 広告宣伝費
- 当面の間の運転資金
立ち上げに失敗しないための4つのポイント
- 提供するサービスの内容や方向性を固めておく
- 経営や資金調達に関する知識を深めておく
- 従業員が働きやすい環境をつくる
- 業務の効率化を図るシステムを導入する
まとめ
訪問看護ステーションの基礎知識
訪問看護ステーションを開業する前に、まずは訪問看護ステーションを理解することが重要です。
訪問看護ステーションで働く職種、主な仕事内容、日本の訪問看護ステーションの現状をご紹介いたします。訪問看護ステーションについて理解を深め、どのような訪問看護ステーションを目指していきたいかイメージしてみましょう。
訪問看護ステーションとは
訪問看護ステーションは、医療専門職やケアマネジャーと連携し、訪問看護サービスを提供する事業所です。看護ケアを提供することで患者の療養生活をサポートするとともに、自立を目指した支援を行っています。訪問看護ケアを行う医療専門職には、看護師や准看護師、保健師、助産師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が含まれます。
訪問看護で行う主な内容
医療保険を利用する場合には、かかりつけ医の指示に基づいた訪問看護サービスが提供されます。看護師等が利用者の自宅等を訪問し、バイタルチェックや病状の確認を行い、利用者の状態に合わせて、身体の清拭や洗髪、入浴介助、排泄介助といった清潔のケア、食事のケアなどを行います。また、医師の指示による医療行為や医療機器の管理、終末期のターミナルケア、褥瘡の処置や予防、認知症のケアも行われています。また、看護師によるサービスに限らず、理学療法士や作業療法士などによる訪問リハビリテーションや家族支援も提供されています。
訪問看護ステーションの現状
今後、日本の高齢化は急速に進み、高齢化率が現在の約30%から2065年には約40%になるという推計が出ています。高齢者人口としては2042年がピークとなると言われており、65歳以上の高齢者はおよそ3900万人以上になると想定されています。
国として在宅医療を推進するなかで、利用者の需要が増加していることが要因と考えられます。
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訪問看護ステーション立ち上げまでの基本的な流れ
ここまで訪問看護ステーションの基礎知識をご紹介いたしました。
ここからは、需要が高まる訪問看護ステーションを開業する流れについて順番にご紹介いたします。事前に準備するものや申請などの手続きも多数ありますので、予定通りの時期に開業できるように事前に確認し、計画的に準備を進めておきましょう。
①事業計画書の作成
まず開設する地域の特性、既設されている訪問看護ステーションの数、病院や診療所等の医療機関の数、福祉サービスの供給量などを確認し、事業所の開設後の利用者の見込み数や提供すべき訪問看護サービスの内容と必要度、連携先などを把握します。
こういった情報をもとに、事業の見通しを確認するための事業計画書を作成します。
事業計画書には、会社・事業の概要、創業の動機、経営者の略歴、事業の内容、従業員(人員配置)、開業資金、資金調達手法、収支計画などを記載します。
②法人の設立
訪問看護の事業を行うには、所轄官庁から介護保険と医療保険の『指定』を受ける必要があります。この『指定』を受けるためには、『法人格』が必要になります。
医療法人や社会福祉法人、NPO法人といった法人格や『株式会社』や『合同会社』でも訪問看護を運営できます。
新たに法人として事業を始める場合は、法務局にて商業・法人登記申請の手続きを行うことになります。
③資金の確保
- 付き合いのある銀行や信用金庫から融資を受ける
- 日本政策金融公庫から創業融資を受ける など
④開設場所の決定
- 事業の運営を行うために必要な広さがあること
- 利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースがあること
⑤設備や備品の手配
-
手洗い設備
-
車両
-
応接セット
-
事務用デスク・チェア
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パソコン・モニター
-
タブレット・スマートフォン
-
電話機
-
プリンター・コピー機
-
書棚
-
医療用保管庫
-
メディカルペール・医療廃棄物の収納容器
-
ロッカー
-
パーテーション
-
医療器具等
-
感染対策用品
⑥従業員の確保
訪問看護の従業員として働く保健師、看護師、または准看護師を採用します。訪問看護ステーションでは、人員に関する基準に、「保健師、看護師または准看護師を常勤換算方法で2.5人以上配置すること」が定められています。そのため、事業所の指定申請を行うまでに少なくとも3人以上(ご自身が看護師として働く場合には2人以上)を採用する必要があるため、スタッフの採用活動も早めに開始することがポイントです。
⑦都道府県への申請
- 指定居宅サービス事業所指定申請書
- 訪問看護事業所の指定に係る記載事項
- 申請者の登記簿謄本又は条例等
- 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
- 就業規則の写し、資格証の写し、雇用契約書の写し又は誓約文
- 管理者の免許証の写し
- 事業所の平面図
- 外観及び内部の様子がわかる写真
- 運営規程(料金表含む)
- 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
- 衛生管理上の処置について
- 介護保険法第70条第2項各号の規定に該当しない旨の誓約書
- 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
※書類は例示です。実際に必要となる書類は、指定権者にご確認ください。
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訪問看護ステーションを立ち上げるための指定基準
訪問看護ステーションを立ち上げるために、厚生労働省で定められた基準があります。
こちらでは人員・設備・運営の観点でそれぞれの基準をご紹介いたします。
基準をクリアしなければ申請手続きを始めることができないため、各基準を理解し、基準に沿って準備を進めましょう。特に運営の基準については確認する項目が多いため注意して進めましょう。
人員の基準
職種 | 資格要件 | 配置基準 |
管理者 | ・保健師、看護師 ・医療機関における看護、訪問看護又は老人保健法第19条及び健康増進法第17条第1項の規定に基づく訪問指導の業務に従事した経験のある者 ・保健師助産師看護師法第14条第1項及び 第2項の規程により業務の停止を命ぜられ、業務停止の期間終了後2年を経過しない者に該当しない者 |
専らその職務に従事する常勤の者1名 |
看護職員 | 保健師、看護師、准看護師 | 常勤換算方法で2.5以上(うち、1名は常勤のこと)* |
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士 | 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護を実施する場合に配置 | 実情に応じた適当数(配置がなくても可) |
設備の基準
事務室 | 広さの規定はありませんが、机や書庫などの備品が収容できる程度の広さは必要です。部屋の一画では認められないので専用区画が必要になります。(パーテーションやカーテンなどで区分) また、自宅兼事務室として申請する場合は、事務室と自宅のプライベート部分を明確に区分する必要がありますので注意が必要です。 |
相談室 | 相談者のプライバシー保護の観点から個室が望ましいですが、パーテーションでの仕切りも可能です。その場合は高さなどに注意して下さい。 |
衛生設備 | 感染症予防のため洗面所の確保、石鹸・消毒液等が必要になります。 |
運営の基準
運営基準の項目は下記となります。
-
内容及び手続の説明及び同意
-
提供拒否の禁止
-
サービス提供困難時の対応
-
受給資格等の確認
-
要介護認定の申請に係る援助
-
心身の状況等の把握
-
居宅介護支援事業者等との連携
-
法定代理受領サービスの提供を受けるための援助
-
居宅介護サービス計画に沿ったサービスの提供
-
居宅サービス計画等の変更の援助
-
身分を証する書類の携行
-
サービスの提供の記録
-
利用料の受領
-
保険給付の請求のための証明書の交付
-
指定訪問看護の基本取扱方針
-
指定訪問看護の具体的取扱方針
-
主治の医師との関係
-
訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成
-
同居家族に対する訪問看護の禁止
-
利用者に関する市町村への通知
-
緊急時の対応
-
管理者の責務
-
運営規程
-
勤務体制の確保等
-
業務継続計画の策定等(令和3年度から追加、令和6年3月31日まで努力義務)
-
衛生管理等
-
掲示
-
秘密保持
-
広告
-
居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止
-
苦情処理
-
地域との連携
-
事故発生時の対応
-
虐待の防止
-
会計の区分
-
記録の整備
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訪問看護ステーションの立ち上げに必要な費用
ここまで立ち上げで必要な手続きや基準をご紹介いたしました。上記の手続きで発生する費用やスタッフを採用する上での費用もあります。
立ち上げ時に発生する費用や準備しておくべき資金について気になる方も多いかと思いますので詳しくご紹介いたします。
経営が安定するまでの月々の支出も見越して、準備しておく必要がありますので、安定するまでにどれくらいかかるのかも併せてご紹介いたします。
法人設立の登録費用
法人の設立は法務局で登記しますが、登記に関わる費用として、登録免許税、定款の認証費用、印紙代などがかかります。
法人によって発生する費用が異なるため、費用も加味して検討する必要があります。
各法人の登録時に発生する費用の目安は下記となっています。
株式会社・・・合計25万円~
合同会社・・・合計10万円~
NPO法人・・・非課税なので0円
指定申請手数料
申請時の手数料が30,000円ほど必要です。
手数料は、都道府県や市区町村によって異なります。所属する自治体で必要になる費用を確認しましょう。また社会福祉法人、NPO法人、医療法人等は、事前に定款の認可(認証)を受けなければなりませんので、申請前に事前協議が必要です。
事務所契約の初期費用・賃貸料
事務所等に係る費用として、事務所を契約する際の「仲介手数料」、「敷金」、「礼金」、「賃貸料」、「改修費用」、「駐車場代」などが挙げられます。場所によっては初期費用として100万円以上かかることもあります。
仲介手数料 | 不動産賃貸契約に係る仲介業者(不動産屋)に支払う手数料。 |
敷金 | 家賃滞納や修理費用の担保として預けるお金。賃貸料の「1ヵ月分」や「2ヵ月分」などで計算されることが一般的。 |
礼金 | 物件の所有者に対してのお礼として支払うお金。賃貸料の「1ヵ月分」や「2ヵ月分」などで計算されることが一般的。礼金なしの物件もある。 |
賃貸料 | 月々支払う家賃や管理費。契約時及び月々の支払いを前払い方式で支払う場合が多い。 |
改修費用 | 内装の工事費用や手洗い器の設置費用など物件の改修にかかる費用。 |
駐車場代 | 訪問に使用する車両や従業員の通勤に使用する車両がある場合、駐車スペース確保のために駐車場代がかかります。 |
広さの基準はありませんが、看護職員の待機場所や相談室、トイレ、手洗い場等のスペースが必要です。
設備や備品の購入代金
- 文具やコピー用紙
- プリンターのインク
- 名刺
- 医療衛生材料
- 光熱費
- 通信費
- ガソリン代
社用車の購入費用・維持費
移動に使用する自動車や自転車が必要になります。自動車を新車か中古車かや準備する台数により費用は異なります。また、車両代のほかに車検や保険料、重量税等が発生します。
例えば新車の軽自動車を2台準備する場合は約300万円ほどの費用が発生します。
また、自動車にステーションのロゴをプリントする場合はデザイン料やプリント料などで別途5万円〜10万円程かかります。
人件費には、スタッフの『給与・賞与』、退職金等の『退職給付費用』、社会保険料等の事業主負担である『法定福利費』などがあります。
人件費
事業所の開設前であっても、開設準備等の業務に従事するスタッフには人件費が発生するため、この期間の人件費も計算しましょう。
事業を軌道に乗せるために少なくとも6か月程かかりますので、それまでの給与の支払いや家賃、その他固定支出を含めた資金を余裕を持って準備しなければなりません。
事業開始後の最初の収入は開設3ヶ月後となることが多いため、3~5ヶ月分の人件費を確保しておく必要があります。
広告宣伝費
スタッフ募集のための求人広告費や宣伝用のパンフレット・看板作成などの外注費用について、約50万円程度必要です。最近では、SNSを活用して求人・宣伝を行うステーションもあります。SNSは無料で求人活動や宣伝ができるため経費削減に有効な手段です。
また、ケアマネージャーやソーシャルワーカーへの営業など、対面での挨拶を行う際にはパンフレット等を準備しておくと印象づけることができるのでお勧めです。初期のころは特に集客が必要なため、印象の良いパンフレットなどを作成することが重要です。
当面の間の運転資金
介護報酬、診療報酬どちらの場合も、開設してサービスを提供してから約2〜3ヵ月後に入金されます。そのため、開設してから3ヵ月分の経費を支払うための資金が必要となります。 また、開設してからすぐに訪問のスケジュールを埋めることは難しいため、開設初月などは収入が少ないことが予測されます。 上記を加味すると、運転資金として約半年分の200万円〜300万円ほどの資金が必要になると思われます。
立ち上げに失敗しないための4つのポイント
ここからは実際に立ち上げ、経営を進めていく上で、ステーションの特徴に繋がるともいえる4つのポイントをご紹介いたします。こちらで決める内容が経営や採用に影響するので、開業前に準備をしておくことが必要です。
4つのポイントを軸に自分が開設したいステーションの特色やステーションの理想形をイメージしてみましょう。
具体的になることで営業活動も行いやすくなります。
提供するサービスの内容や方向性を固めておく
事業所の場所を検討する際に、地域の特性を十分に調べることが重要です。利用者の獲得難に陥らないためには、地域の特性や既設されている訪問看護ステーションの数、病院や診療所等の医療機関の数、福祉サービスの供給量といった事前調査を行い、どのようなステーションにしたいのか、行うサービスの内容はどうするのか、を決めておくことがポイントです。
そのうえでどこから利用者を獲得してくるかなどサービスの方向性をしっかりと固めておくことで、スムーズな運営に繋げていくことができます。
経営や資金調達に関する知識を深めておく
訪問看護ステーションを運営していくうえで、医療に関する知識とは別に経営に関する知識を身につけることが重要です。
特に、経営者が看護師等の医療者の場合は経営や営業に関する知識が豊富ではありません。そのため、まずは経営に関することをしっかり学び、営業方法も検討しましょう。
また、資金がなければ事業は成り立ちません。事業を継続的に行えるような計画を立案できなければ、融資を受けることが難しくなってしまいます。目先の運営だけを考えるのではなく、2〜3年先を見据えた資金繰りの計画を立案しましょう。
従業員が働きやすい環境をつくる
訪問看護を運営する上では訪問看護師の確保が必要です。そのため、離職を防ぐような働きやすい環境作りが重要です。様々なライフスタイルに合わせた職場環境をつくれるよう直行直帰や時短勤務、フレックス制度などを取り入れるのも良いでしょう。
また、離職理由の中には人間関係もあります。一人での訪問が多く孤独感を感じやすいため、スタッフ間が気軽にコミュニケーションを取れるような環境作りが重要です。全体のカンファレンスを開いたり、相談がしやすいようメンター制度を取り入れたり、定期的に面談を行うなども働きやすい環境づくりには必要でしょう。
業務の効率化を図るシステムを導入する
訪問看護記録書の作成やレセプト・請求書作成、訪問スケジュールの作成などの事務作業が効率化できるシステムがあります。システムを導入することで、書類作業が軽減され、経営者や管理者に集中しやすい事務作業が分担できるようになります。
また、弊社では複雑で作成が大変な訪問スケジュールをボタン一つで作成することが可能な『ZEST』というサービスを展開しております。後々利用者さんやスタッフが増えてからでは、デジタル化に移行するのに多くのエネルギーを要します。開業したタイミングからこういったデジタル化ツールを利用しておくことで、スムーズな導入が可能です。時間のかかる訪問スケジュール作成といった業務をデジタル化することで、ゆとりのある時間を創出し、利用者さんへの訪問や営業、スタッフの教育や研修といった経営に必要な行動に充てることが可能となります。
まとめ
今回は訪問看護ステーションを立ち上げる際に準備することやポイントをご紹介しました。
これからさらに需要が高まる訪問看護ステーションも、現状では廃業のリスクが高いです。
ステーション経営を安定させるため、事前の準備や手続きを計画的に行い、開業後も働きやすい環境づくりなどをしましょう。
ゼストではお役立ち情報の他に無料セミナーなどを行っております。実際に経営に成功しているステーションの経営者にご登壇いただくセミナーもございますので、是非ご参加ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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